生きるためにいじめをし、快感を得てしまうヒト。【ヒトは「いじめ」をやめられない】中野信子

幼稚園の子が言う「お前とは遊ばない」
小学校高学年になると、目立ってる子に向けられる「生意気」
ちょっと変わった子は「あっちにいけ」「きもい」
ママ同士では、知らない間にグループから抜かれてる
サラリーマンの、仕事ができるのに、なぜかプロジェクトから外された。
自分の番だけ、クスクス笑われる。

様々な いじめ

小学生や中学生の自殺があると、大きく報道されたり、SNSで動画が流れたりする。
そして、今度は、加害者を徹底的にいじめる。いじめのループ。

これらは一体なぜ起こるのか。
いじめをゼロにしよう と躍起になっても、なぜなくならないのか。これを科学的に解き明かそうとする研究が進められている。

大好きな中野信子さんの著書 ヒトは「いじめ」をやめられない (小学館新書)
中野さんの著書に共通する
 ・こんな風に言われているけど、それってどうなの
 ・どういう現象があって、それは脳機能などからどう理屈づけられるのか
 ・では一体どうしたら良いのか。
で構成されている。

単に、こんなことがあって、こうだよね。って内容ではなく、脳科学から考えられており、そして、だからどうしたら良いというのが書かれているから、読んでてとてもスッキリする。

さて、いじめ

いじめが無くなればいいのに。誰もが思ってるだろう。
色んなエライ人が、様々な試みをしてもなくならないいじめ。そもそもゼロにしよう というアプローチが間違ってるんじゃないの?というお話。

ヒトの肉体は非常に弱い。だから、生き抜くためには集団を作るしかなかった。この時、最も脅威となるのが、内側から破壊する人。集団を守るためには、この、内側から破壊する人を排除しなければならない。これが、いじめの根源である、制裁行動。この制裁行動は、集団になれば ほぼ必ず生じる。だって、裏切り者や協力しない人がいると集団がうまくいかないから。

また、人間関係を作る愛情ホルモン オキシトシン。
これが、仲間を大切にしよう、良い仲間を作ろう という思いから、良い仲間を選別しよう。につながる。これが強くなったのがいじめ。

他にも、いじめ(生きていくために、集団からはみでるものは排除する)をすることが、正義だ。と思う事で、快感ホルモン ドーパミンが出る。から、やめられない。快感は脳内麻薬であり、理性より強いのだ。

これらから見ると、ヒトは、生きていくために いじめ をしてしまう。という事が分かる。そしたら、いじめってなくならないよね。いじめが発生するのはしょうがないの?と思ってしまうかもしれない。

そこは中野先生。沢山の、いじめ回避策が書かれている。

たとえば、ママたちの場合。いじめの元になる妬み感情は「類似性」と「獲得可能性」からくる。自分と同じような人なのに自分より優れたものを持っていると悔しい「類似性」。相手がもってるものが自分も得られるのではないかと思う「獲得可能性」。

自分とは全然違う人、とか、努力しても追いつけないほど天才肌の人 が自分より優れたものを持っていても妬みにはならない。それが、自分も持てそうなのにあいつだけ持ってる と思うから腹が立つ。ちょっと美人とか、少し他の子より賢いとかがあると、ミスしたときに必要以上に騒がれたりするのがこれ。

で、ママ友なら、
・「類似性」を下げるために、若々しさを出さない。低く落ち着いた声で話す。
・「獲得可能性」を下げるために、「あの人はこの仕事の分野ではプロ」と、絶対的に違うと思わせる。
とか、他には「アンダードッグ効果」自分は完璧な人間ではないアピールをする。「子供には人気あるんですけど、異性にはイマイチなの」とか「実家がものすごく貧乏で苦労して育った」とか。自分だけが得してると疑われるような部分を相殺してしまう。

面白いですよね。
他には、例えば、クレームを受けたとき。「誠意」は男性と女性では違う。
男性の保護者からクレームを受けたときには、正直に自分の能力を超えてるとかを言う。女性の保護者の場合は、とにかく話を聞く。そのうえで、「あなたのお子さんは損してませんよ。今こういう状況なんです」と具体的に伝える。クレームの背景にある不安に共感し、不安を解消してやるのだ。

そんな感じで、様々な、いじめが起こる原因や現象に対する考えが書かれている。
良いとされている団結。この「団結」を見直す。とか、ももクロから学ぼう。とか。

6月と11月に学級崩壊が起こりやすいのは何故か。どうやったら防げるのか。これだけでも、現役の先生は読んで欲しいなと思う。

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