【学力の経済学】 中室牧子
例えば仕事で「集客のためにこれに10万円使いたい」と言ったら、「ホントなの?根拠は?」と聞かれる。当たり前だよね。
でも、東大に行ったあの人も、あの高校に行ったあの人も、頭の回転よくするために朝からシュークリームとかの甘いの食べてたらしい と聞けば、そうなの?やってみようかな となる。
教育に関しては、自分に子供がいる、自分の兄弟に子供がいるなど、携わっている人があまりにも多いから、一億総評論家になって、好き放題言ってますね。
しかし、本来、〇〇が良い、〇〇は良くない というには、根拠が必要である。
また、因果関係を明らかにするというのは非常に重要です。
例えば、「親の年収や学歴が低くても学力が高い児童の特徴は、家庭で読書をしていること」という分析をうけて、「子供に読書をさせることが重要」というのは本当なのか。これは正しいとは言えない。「因果関係」と「相関関係」があり、「因果関係」は、「Aという原因によってBと言う結果が生じた」ことを意味し、「相関関係」は「AとBが同時に起こっている」ことを意味しているにすぎない。なので、相関があることは必ずしも因果関係があることを意味しない。
ということは、読書をしているから学力が高い(因果関係)のではなく、学力の高い子供が読書をしているにすぎない(相関関係)可能性がある。とのこと。
このように、科学的な根拠をもとに実行しないと、お金や時間の無駄遣いが生じます。よかれと思ってしている子供に対する様々なことが、実は、全く何の効果もないかもしれないのです。
関心をもち、少しでも良い導きをしてやりたいと思うなら、無駄な道を通るのではなく、科学的根拠に基づいて正しい導きをしてやりたいものです。
この、科学的根拠にもとづいて、以下のような事が、本当なの?ウソなの?というような事が書かれています。
●子供に勉強をさせるために、ご褒美で釣っても良いか
●褒める教育は良いか
●テレビやゲームは悪いのか
などなど。とっても面白いですよね。そして、人さまざま色んな意見がありそうです。
とっても気になると思うので、ひとつ例を出すと、
●子供に勉強をさせるために、ご褒美で釣っても良いか
結果としては
「1時間勉強をしたら、勉強後にご褒美を与えるよ」 は〇
「テストで良い点をとったら、お誕生日にご褒美を与えるよ」 は×
1時間勉強をする=インプット
テストで良い点をとる=アウトプット
だと、インプットの方がより具体的で何をすべきか明確です。
また、
勉強後に=近い将来
お誕生日に=遠い将来
だと、近い将来に良い事が行われる方がインセンティブとして強いのです。
他にも様々な例が科学的根拠と共に載っています。非常に面白い本でした。お子さんがおられる方、教育関係のお仕事をされている方はもちろん、そうでない方も、今「〇〇すべきだ」と言ってるのは本当に根拠があるのか?を考える良いきっかけになると思います。
まとめ
●世間で言われてる、「良い子育て」は、科学的根拠がない、主観的な考えが非常に多い。
●科学的根拠に基づく子育てをすることで、より良い導きをすることができる
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この本を読むと、「幸福の習慣」を思い出しました。
150ヶ国で50年にもわたって調査をし、幸福だと感じている人は、どのように日々を過ごしているかなどを調査したものです。こちらも、よく「〇〇は大事だよね」と言われることが、本当にそうなのか、などが理解でき、非常に面白い本です
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