【言ってはいけない】橘玲

あらすじ

この中のたった一つでも、ネットに書くと、大炎上しそうなネタばかり。
スポーツ選手の子供は運動神経が良い は、「そりゃそうだ」
じゃ、子供が逆上がりができないのは親が運動音痴だからだ は、「んーまぁそうだね」と笑い話

大学教授の子供は頭がいい は 「そりゃそうだ」
じゃ、子供の成績が悪いのは親がバカだからだ は ちょっと笑えない。

犯罪者の子は犯罪を起こす はさらに笑えない。こんなこと 言ってはいけない。

しかし、IQの遺伝率は77%。論理的推論能力の遺伝率は68%
これは、頭の良しあしの7~8割は遺伝で説明できるという事を示している。

このように、進化論、遺伝学、脳科学などから、わかる「口にしてはいけない(とされている)残酷な真実」について書かれた本

感想

装丁のとっつきにくい印象とは違って、とても面白い本だった。
あらすじに書いたように、大炎上しそうなネタばかりであり、読み進めれば不愉快に思う人も、怒り出す人もいるだろう。

私にとって一番おもしろかったのは、
「わたし」はどのように「わたし」になるのか
という章

「わたし」というのはどのようにして「わたし」になるのか、というのは、公には、遺伝半分・環境半分 と言われている。
身体的な特徴だけではなく、知能や性格、精神疾患、などの「こころ」も遺伝が影響する。では「こころ」のすべてが遺伝かというとそうではない。残りの「環境」をさらに2つに分類する。

共有環境(いわゆる家庭)と、非共有環境(家庭以外の、学校などの友達)これが、「わたし」のこころにどう影響しているか。というと、なんとほぼすべてが、非共有環境 なのだ。
例えば、性格 は、遺伝率が35~50%で、残りはすべてが 非共有環境。すなわち 共有環境の寄与度はゼロ。

わかります?これが示すこと。

「わたし」をつくる 「こころ」は遺伝の影響がきわめて大きい。
そして、それ以外は、家庭環境ではなく、友達環境によって「わたし」が作られていく ということなのだ。
遺伝の影響はありとあらゆることに及んでおり、それは音楽的才能92%から、言語性知能の14%まで幅広い。しかし、驚きなのは、ほとんどの項目で、家庭環境の影響は計測できないほど小さい ということ。

学習能力だけでなく、「男らしく(女らしく)しなさい」ということですら、親は子供の人格形成に影響を与えられない。子供が親に似ているのは、遺伝子を共有しているから。
子供は、友達環境の中で排除されると、生きていけない。子供が親に反抗するのは、そうしないと仲間外れにされて死んでしまうから。となると、子供が親のいう事を聞かないのは、しごくまっとうで、何の疑問もない。

だから、世の中の親が、
何でこの子はいう事を聞かないんだ!!!
と、思うのは、まったく無意味。ということ。
だって、親のいう事を聞く というプログラムをされていないから。

これを読んだら、過去に読んだ選択理論の話がまたまた腹落ちした。
子供がいう事をきかないのは、子供のせいでも、あなたのせいでもない。
そもそも いう事を聞かせよう としなくていいんです。

子供に、ガミガミ怒っているあなた。
そんなに怒るのはやめよ。
大丈夫、言ってあげないとこの子はダメになる  というのは杞憂。
愛情をしっかり注いであげて、いつでもあなたの側にいる。というメッセージさえ与えてあげたら、子供はきっといい子に育ちます。

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