【七つの会議】池井戸潤

七つの会議、読み始めていくつめかまでは、会議にまつわる短編集かと思った。
大会社の中で、いくつも開かれる会議、そしてそれにまつわる数多くの従業員。

組織の末端と言われる社員から、部長、社長と、組織の中枢にいる人まで。どの人も、その人を中心に描かれると他の人は全て脇役になる。

どんな会社にも文化や風土はあり、考え方、モノの通し方、どんな時にどう振る舞うべきなのか、失敗した時はどうするのか、数字に対する考え、などが全然違う。何が正しくて何が間違いなのか、それが、会社によって違うから。

自分の会社が正しいとすることが、常識から考えて正しくないとき、自分の会社で間違ってるとされることが、世間的には正しいとき、自分はいったいどう振る舞えるだろう。

日大のアメフト部の選手の様に、圧倒的な権力に追い詰められ、正しいと刷り込まれた時、組織人としてどう振る舞えるのだろう。

自分に自信があり、環境もよく、独り身ならば、サッサと会社なんか捨ててしまうこともできる。だけど、家族があり、お金が必要で、転職しても今を維持できる自信もない、部下たちを見捨てることなんてできない。追い詰められた時、犯罪に加担してしまうのは誰でもあり得ることなのかもしれない。

会議にまつわる人間の心、登場人物それぞれに味があって、目に浮かぶように生き生きと動く。人間ドラマとしても面白い。

半沢直樹シリーズの池井戸潤の作品。

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