【わたし、定時で帰ります】朱野帰子
ドラマにもなった「わたし、定時で帰ります」
残業ゼロ、定時で帰ることをモットーにしている主人公 東山結衣。
定時で帰ることを守りながらも、成果をあげる。自分だけしているときは良かったが、チーム全体となるとなかなかスンナリいかない。チームスタッフからの反発もあり・・・。という小説。
先日、作者朱野さんのトークセッションを聞く機会があり、その後本を読んだ。主人公は定時で帰ることをモットーに生きているが、作者の朱野さんはむしろバリバリの仕事人間だったとのこと。
私も結構激しい働き方をしてたと思う。
大学卒業以来、ずっとフルタイムで働いてるんだけど、朝7:30に会社に行き夜22時頃までいる という時もあった。パソコンが個人で持ち歩けるようになってからは家にかなり持ち帰っていた。
ワタシさえ我慢すれば。ワタシさえ頑張れば。
そう思ってずっとやってた。
だけど、下の子の育休期間に、はじめて、上の子と長い時間を過ごした。それで、子供と時間を過ごす大切さをかみしめることになった。「ワタシさえ我慢すれば。ワタシさえ頑張れば。」は、頑張って我慢してるのは私だけではなく、家族に大きな負担を強いていることに気づいた。
そしてそれから何年か後に、事務所が移転。片道2時間ちょっとかかるところに通ってた。子供と一緒にいれる時間に、仕事をしてるならまだいい。単に電車の中で過ごしてる自分。
なんてもったいない時間の使い方だろう。と思い、まずは、定時で帰ることにした。
だけど私は主人公の東山結衣のように、会社を出たら仕事しない!とできずに、家にかなり持ち帰り、家で毎日23時までパソコンで仕事してた。会社で残って仕事してた時よりもさらに長時間労働。
会社の人からは、定時で帰ることについて嫌味を何度も言ってくる人もいた。そして隠れ長時間労働と長時間通勤時間で疲弊。部長会議で残業削減の成果を発表しても、シラー―っと誰も興味がない。
そのあたりでやっと、生産性を高めることに目が行き始めた。
生産性についての本を読み漁り、一人当たりの生産性を高める。自分じゃなくてもできる仕事はしない。そんな風にやっと舵をきっていった。
能力がない人間にとって、定時で帰る は恐怖である。
時間を差し出せないから。時間で足りない成果を補えず自分の無能さを突きつけられる。だからこそ、早く帰れることを喜ばれるはずの同僚からも敵対心を持たれる。
早く帰る という制度だけを作っても会社は良くならない。スタッフはハッピーにならない。
どうやったら生産性を上げることができるのか、それも、個人の才能などに頼らずシステムとして生産性を上げる。そういう仕組み、システムを考えることこそが上の立場の仕事なんだと思う。
ワタシも散々時間を差し出してきたから、その会社で勤めていた時は、ほんっとに会社の枠組み以外の知り合いもいなかったし、情報は本からしかなかった。今は会社の枠を超えて、色んな会に参加し、勉強会に出、たっぷりの情報に触れられる。そっちの方が仕事にも活かせる。
働くってなんなのか。
仕事を通して人はどうやって幸せになるのか。
色々と過去を思い出し、仕事を通して幸せになることについて考えさせられた。
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