【後妻業】 黒川博行
大竹しのぶ主演で8月27日から公開される映画【後妻業の女】の原作。
後妻業とは
資産を持ってる老人を狙って後妻に入る。その老人が死んだら遺産を手に入れる。それを仕事のようにしていること。
大竹しのぶが演じる小夜子は、その、後妻業のエース。
エースってどういうこと?って感じだけど、とにかくその道としてはプロで上手。老人と深い中になり、遺言は全部自分に入るようにして上手に死なせる。
もう、ホントにひどい話なんだけど、メチャメチャ面白い。
まず、本当にありそうな話なのよね。小夜子ほど強欲でひどくないにしても、相手が1人とかなら、その辺にありそうな話。自分の将来が不安になったとき、資産家の老人と付き合い結婚する。数年の我慢ののちに数千万円を手に入れて老後は安心。みたいな。
この小夜子の面白いところは、もう、桁外れに倫理観がないのよね。脳のどこかが損傷してるんだろうなぁと思うほど。狙った獲物を確実に自分のものにする才能。会ってそんなに月日が経ってない人に入籍を迫ったり公正証書を書いて遺言で遺産を全部私に譲ると書けと迫ったりする図々しさ。書いた後はサッサと死んでもらいたいから殺人もいとわない。金銭欲も物欲も性欲もあふれんばかりの小夜子。
その小夜子とタッグを組むのが結婚相談所の所長。
この所長もヤクザの息子で法を犯すことを屁とも思わない男。後妻業エースの小夜子に、どんどん資産家を紹介し、上手に手に入れるように結託。
この二人、仕事のパートナーなんだけど、ぜんっぜん相手を信用してなくてお互い強欲。1円でもお互いに渡したくないという強欲さの中でパートナーとして仕事(?)をしている。
大竹しのぶって、上品で清楚で謙虚そうな人なんだけど、この、小夜子の、下品なのに妙につやっぽくて、チャラチャラしてる軽い女をメチャメチャ上手に演じてるんだろうなぁと目に浮かぶ。
大竹しのぶの顔を思い浮かべながら読むと、とっても楽しめる。
あっという間に読める面白い本です。ぜひ。